かぶ1000 賢明なる個人投資家への道 【要約レビュー】

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かぶ1000 賢明なる個人投資家への道 【要約レビュー】

かぶ1000氏は、ご存じネットネット株や資産バリュー株を中心とする株取引で資産を築いてきた著名個人投資家だ。
かぶ1000さんは、ツイキャス、ツイッター、ブログ(ブログは休止中)で、自身の投手手法や投資に対する考え方を公開している。
そういったネットで読むことのできる、かぶ1000さんの資料はとても貴重だ。この記事で取り上げる「賢明なる個人投資家への道」は、かぶ1000さんが書き上げた2冊目の単行本になる。
1冊目の本「貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術」は、かぶ1000さんが、投資先企業を評価するときの評価方法や、株式取引の方法などを詳しく説明している。

この記事で取り上げる「賢明なる個人投資家への道」は、1冊目の「貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術」より基本的なことが中心に書かれている。2冊目の本の出版理由を、株1000さんは、ネットネット株の箇所など本を読んでよくわからなかったという読者の声にこたえるため、と前書きで語っている。

前書きが長くなったが、本書の内容について要約レビューをしていこう。
この記事の見出しは、そのまま本書の見出しになっている。見出しを読むだけで内容が分かってしまう、素晴らしい構成になっている。

今回 要約レビューする本
Amazon 「賢明なる個人投資家への道
楽天    「賢明なる個人投資家への道

賢明なる個人投資家への道」を下記のとおり、本記事を含めて4つの記事で順にレビューしている。

かぶ1000著「賢明なる個人投資家への道」

著者 かぶ1000 略歴

中学2年生の時に株式投資を開始。40万円を元手に投資を続け、高校2年生の時に資産1500万円とする。20220年累積利益5億円を突破。「ネットネット株」への投資や「資産バリュー株」への投資を得意とする。

かぶ1000著「賢明なる個人投資家への道」 基礎編1お金の本質を知る

お金の価値は70年間で8分の1に下がっている

お金の本質とは、時間と共にその価値がだんだん下がっていく点にあります。

かぶ1000さんは、資産のほとんどを現金以外で保有している。特に株式の保有比率はかぶ1000さんが持っている資産の7割を超えている。

現金で資産をもつことをしない、つまり貯金でお金を温存しない理由は、下記のとおり、現金の価値は時とともに下がっていくからである。

明治13年(1880年)の一万円は、約140年後の令和元年(2019年)の貨幣 価値に換算すると、いったいどれくらいになるのでしょうか。この約140年間で一万円の価値は、なんと5342分の1になったということです。

では、現金以外でどのような方法で資産を保有すべきか。

余ったお金を現金のまま持っていないで、どのように保有するのが正解なのか。その方 法を考えていくのが資産運用の原点であり、その一つとして最適なのが株式運用なのです。

 

日本はデフレなのか、インフレなのか

日本はデフレに陥っていて、デフレで現金の価値がさがっているから、物価が上がっているように見えると、かぶ1000さんは見ている。

株1000さんによる、日本がデフレに陥っている理由は次の3つである。

  1. 少子高齢化
  2. 賃金がなかなか上がらないこと
  3. 対外的に見て「円」という日本の通貨が強いこと

日本の現金主義は世界的にみると「異常」

個人(家計)が保有する金融資産は1992兆円、そのうち現金・預金が1072兆円 と過去最高を更新し、全体の53.8%を占めています。

いわゆるタンス預金の総額は、日本の国家予算に匹敵する額だそうだ。

それでも、日本人はタンス預金をやめない。

100万円を預けても受け取れる利息は年間20円にしかなりません(さらに税金がひかれます)。これでは複利で何年間運用したとしても、お金は全くといっていいほど増えないのです。

 

日本で個人が株式投資している金額は、金融資産全体の10%、投資信託が4.3%に とどまっています。これは世界的にみても、極めて異例なのです。

本記事で要約レビューしている本は、
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デフレは終わり、インフレが進もうとしている

カネあまり=インフレ」であり、余ったお金はおもに株式市場と不動産市場に流れ込みました。
日本で株式とともにインフレの影響がはっきり表れているのが、不動産価格です。
マンション価値を基準にすると、2010年の1万円は2021年には6250円の価 値しかないことになります。

これから、インフレが進んでいくと、お金の価値は目減りし、インフレに耐えうる資産が価値を増していく。そのインフレ耐性のある資産が、株と不動産である。

ディズニーチケットを基準にすると、1万円は5000円の価値しかない

ディズニーランドのチケット代を基準に考えるなら、1989年の1万円は、30年後 の2021年ではおよそ半分の5000円の価値しかないのです。

お金の価値が下がるのは宿命のようなもの

インフレでお金の価値が下がるようになったのは、「不換紙幣」になってからのことです。

起こりにくいことだが、かぶ1000さんが言うように、「信用をベースとする不換紙幣で日本経済が回っている以上、その信用が崩壊すれば金融パニックが起こる可能性はゼロではない。」

株式は現金より信用度が高い

株式には、企業のビジネスや資産といった信用の裏付けがあります。

そのため、現金よりも株のほうが信用度が高くなると説く。

2022年現在、日本円の価値は米ドル、ユーロなどに対して大幅に下落している。2022年9月には1米ドルあたり150円の価格になった。新聞報道によると日本円の価値は、50年前の価値にまで下落してしまったと報道されていた。

その日本円の価値を保証するのが日本政府である。日本円の価値下落はとりもなおさず日本政府、または日本経済に対して海外の投資家は冷たい目で見ているから起こったのではないだろうか。

その場合、海外投資家は日本の企業をどのように評価しているのだろうか。もし海外投資家が日本の企業の価値は不変または価値が上昇していると評価し、そして日本円だけが価値が下落しているのであれば、海外投資家が日本の企業を買う、つまり日本企業の株を買うことはとても理にかなっていることになるのでないだろうか。

本書「賢明なる個人投資家への道」では、日本円の価値と日本企業の評価がどのように結びつくのか、その点が少しわかりづらかった。

 

かぶ1000著「賢明なる個人投資家への道」 基礎編2 お金は株式にするのが正解

インフレに勝てるのは金と株式、なかでも株式が優位

お金は「利息」(利回り)と「時間」という2つの要素の掛け算によって増えていくと いう性質があるのです。

 

過去のデータから、インフレに対抗できるのは、定額預金でも国際などの債権よりも株式や金(ゴールド)だとわかっています。

実際にかぶ1000さんは、資産における現金比率は2%程度しかない。

かぶ1000 @kabu1000
こうなる事を想定して私は日本株は一等地の不動産や株を多く持つ資産バリュー株、現物資産は金・プラチナ、コインやコミックアートの原画、宝石などを保有しています。お陰で保有資産は過去最高の評価額に恐らくなっていると思います。現金の保有比率は資産の2%前後です。
午後11:46 · 2022年3月25日  ツイッターより

ウォーレンバフェットは、株式投資はするが、ゴールド(金)などの貴金属には投資しない。貴金属への投資には否定的である。なぜなら、貴金属100グラムは、今も将来も100グラムで変わらないからだ。よって、貴金属で儲けるためには、自分でその貴金属を買った金額よりも、高い金額で自分の貴金属を買い取ってくれる相手を探す必要がある。

 

70年間で日本の株式(日経平均)はおよそ200倍、金はおよそ11倍になっていま す。一般的に「金はインフレに強い資産」といわれますが、それ以上に株式はインフレに 強いという性質があるのです。

株式で複利効果をフル活用

複利とは、得られた利息を再投資することで、利息が利息を生み出す仕組みです。

ウォーレンバフェット、ウォルターシュロスなど株式投資で成功している投資家は皆、複利について言及している。複利こそが株式投資のだいご味なのだ。

複利で年率20%の利回りだと、20年で100万円が3833万円になるという驚異の計算式が成り立つ。

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ちなみにウォーレンバフェットは、年利回り20%を達成している。世界の資産家バフェットさんでさえ株式投資の利回りが20%なのだから、長期にわたり20%の利回りを株式投資で達成し続けるのは困難なことが分かる。

ところが、かぶ1000さんは利回り27%を達成している。

私の過去20年間の株式投資の利回りは複利計算で27%。10年で元本が10.9  倍。20年で119倍になった計算です。

かぶ1000さんは、普通の人でも年15~20%の成績をあげることは可能と著書に書いている。しかし、実際株を運用してみると、それはかなり難しいハードルだと感じる。

会社員の兼業投資家のみなさんも、株式投資にきちんと向き合う習慣をつければ、年率15~20%の成績をあげることは十分に可能だと思いますし、私の友人でさらに高い利回りを維持している人も実際にいます。

それでも、かぶ1000さんの家族もみな、株1億円を突破しているのだから、やはり、株1000流投資方法に秘訣があるのではないかと勘繰りたくなる。

くり返しになりますが、投資未経験だった私の母とかみさんも、株式投資を継続することで「億り人」になっているのです。 

暴落を乗り越えて力強く成長

株式投資で一番気になるのが、暴落に巻き込まれ、株価が大幅に下がることだろう。場合によっては、というよりほぼ確実に起こり得るのが、含み損を抱えてしまうことだ。

このあたりを、常時株資産を保有しているかぶ1000さんはどのように考え、暴落を乗り切っているのだろうか。

ニューヨーク・ダウも、ナスダック総合指数も、日経平均株価も、暴落を何度も経験し ながらも、長期で見ると力強い右肩上がりです。

結局長期投資が要ということなのだろう。長期で投資していれば、運用成績は長期のデータと連動する。確かに、日本株も米国株も長期では右肩上がりなのだから。

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米国株では15年間、日本株でも20年以上投資を続けていれば、上昇と下落が打消しあって、元本割れ(投資した元手を株式の価値が下回ること)のリスクがなくなるというデータもあります。

実は日本株こそ最強

ウォーレンバフェットが、自分の遺産を奥さんに渡すとき、その90%はアメリカのインデックスファンドS&P500で運用するよう、言い渡しているそうだ。S&P500は、アメリカの大手優良企業500社の株価に連動するインデックスファンドである。バフェットは、アメリカの成長、つまりアメリカ企業は今後も成長が続くと考えているようだ。おそらく、かぶ1000さんも同じ考えだろう。ただし、かぶ1000さんんは、日本株も米国株に劣らず素晴らしい将来性を持っていると説いている。

ニューヨーク・ダウと日経平均株価の利回りは7.5%と7.4%とほぼ同等になって います。長期でみると、日本株も米国株に負けず劣らず頑張っているのです。

それを踏まえると、実はナスダック総合指数よりも、日経平均株価のほうがパフォーマンスは高いのです。 

私は日本株への投資こそ最強だと思っています。

日本企業は、昔株主対策として、株主総会を無事に乗り切るための方策をいろいろととっていた。ところが、外国人投資家が日本の株にも興味を持つようになってから、そのような対策が問題視されるようになった。

現在は、大手日本企業は、今間までとは真逆の対策、どのように株主へ還元できるかを真剣に考え始めている。

現に、日本株の保有比率で考えると、3割が外国人投資家が占めている。さらに市場での売買は外国人投資家が最大7割を占めている。

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できるだけ早く始めたほうがいい

株価が下がったら、暴落したら安い価格で株を買うほうが得だと、素人は考えがちだ。ところがかぶ1000さんは、出来るだけ早く始めなさいと説く。バフェットも同じ考えだ。

とても長い丘の頂上でこの小さな雪玉(富)を作り始めました。非常に長い丘を持つコツは、非常に若いうちから始めるか、非常に高齢になるまで生きるかのいずれかです。
I started building this little snowball at the top of a very long hill. The trick to have a very long hill is either starting very young or living to be very old.
1999年 ウォーレンバフェット

なぜなら、どの銘柄に投資するかよりも、長期で投資することが重要だからだ。

バフェットの投資方法がわかる本として、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」がある。(アマゾンで中古本が安く出品されている。)
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どこに投資してどの程度の利回りを得るかということ以上に、長期にわたって投資を継続することが重要です。

なぜ不況なのに株高が起こるのか

 不況になると、「かね余り」の状態になる。そのお金の行き先が株になる。だから株高になる。

安く買って高くうることが狙いではない

かぶ1000さんでも、今が底値なのかはわからないという。つまり、高値か安値からは自分も含めて誰にもわからない。重要なのは、株を持ち続けること。

株式を売却すると、インカム・ゲインも同時に失われてしまうこと。

 

FXや暗号通貨がお金の置き場所として適切ではないわけ

FXや暗号通貨は、それをどのように評価すべきか、つまり価値に対して価格が高いのか安いのか、判断がつかないとかぶ1000さんは言う。そのため、これに投資することに警鐘をならしている。これは、前述したバフェットが、ゴールドに投資しないことと同じだろう。

FXや暗号通貨には、ファンダメンタルズと呼べるものがありません。値動きを予測するための指標がなく、割高か割安かを判断する基準がないのです。

株式は資本主義に参加するチケット

資本家になる方法はいろいろとありますが、もっとも簡単なのは企業の株式を保有する ことなのです。

これも、ウォーレンバフェットの受け売りだが、株を保有するということは、その会社の部分所有者になることだ。

People buy a stock and they look at the price next morning and they decide to see if they are doing well or not doing well. It is crazy. They are buying a piece of the business. That is what Graham – the most fundamental part of what he taught me. You are not buying a stock, you are buying part ownership in a business. You will do well if the business does well, if you didn’t pay a totally silly price. That is what it is all about.
人々は株式を購入し、翌朝の価格を見て、業績が良いか悪いかを判断する。狂っている。株を買った人はその事業の一部を買っている。それがグレアムが教えてくれたことの最も基本的な部分だ。株を買うのではなく、企業の一部の所有権を買うのだ。ビジネスがうまくいけば、あなたの株価購入もうまくいくことになるでしょう。まったく馬鹿げた価格で買っていさえいなければね。それが全てです
Warren Buffett

「株は単なる紙切れではない」会社の一部なのだ、とウォーレンバフェットがスーパー投資家と呼んだウォルターシュロスも語っている。

Try to establish the value of the company. Remember that a share of stock represents a part of a business and is not just a piece of paper.
企業の価値を算出しなさい。会社の株はその会社のビジネスの一部であり、単なる紙切れではないことを忘れないように。 ウォルターシュロス

 

もし上場企業で、これぞと思った企業があれば、その企業の株式を買って株主になるこ とで、その企業の所有者(パーシャル・オーナー)になることができるのです。  ウォルターシュロス

株式投資はクラウドファンディングのようなもの

最近では最低単元を下回る「ミニ株」取引ができる証券会社も増えて、一株からでも買えるようになりました。

クラウドファンディングとは、クラウド(群衆)とファンディング(資金調達)を組み合わせた造語である。クラウドファンディングは、一般の人から資金を募って目的を達成することである。このようなクラウドファンディングを仕掛ける個人や団体には主に2通りある。

1つは営利目的のクラウドファンディング。2つ目は営利以外の目的でのクラウドファンディングだ。

営利目的の場合は、例えば千葉県で漁業をしている会社が新たな漁船を購入する際、クラウドファインディングで資金を募るなどが一例になるだろう。一般の人に向けてクラウドファンディングに参加してもらい、そして漁船を購入する。その後その漁船を使って得た魚を出資してくれた参加者におすそ分けする。

2つ目は、営利以外の目的は、本書でも紹介しているような、歴史あるお城が経年劣化で傷みが激しく、その修繕のためにクラウドファンディングするなどの例だ。これは特に見返りを求めない一般の人から資金を募るという方法だ。純粋に歴史あるお城を後世に残したいという趣旨に賛同して出資する。

かぶ1000さんは、株式投資がクラウドファンディングに似ているといっているのは、出資する(株を買う)ことによる見返りを得る(配当金や株価の値上がり益)一方で、その企業を応援するという2つの意味が込められているようだ。

クラウドファンディングの2通りの目的、出資先から金銭的な見返りを得ることと、その出資先の事業(お城の改修など)を通して社会貢献したいという自分の望みを叶えること、の両方を株式投資では満たすことができるとかぶ1000さんは言う。

また、株式購入は現在100株が1単位(単元とよぶ)として取引されている。そうすると、100株買うためには、株価が安い銘柄でも10万円程度は必要になる。

ところが、100株でなくて1株からでも取引ができる制度を設けている証券会社もある。SBI証券などはその好例で、1株で株式を買ったりできる。1株でもしっかり1株分の配当金がもらえるし、場合によっては隠れ優待といって、たった1株でも優待品までつけてくれる企業もある。こういった株は、証券会社によって呼び名は違うがミニ株とか端株と呼ぶ。

実は私も端株を持っている。
・ニトリ 10株
・カーブス 1株
・クラレ 1株

こういった端株を買う理由は様々だが、たとえばニトリは100株単位だと百万円を超える資金が必要になる。手元資金と相談して私は10株だけの購入にした。

クラレは、1株だけ持っている。クラレは1株の保有でも、普通の株主扱いをしてくれて、優待品としてカレンダーを進呈してくれるからだ。クラレのカレンダーは結構見ごたえのある立派なカレンダーなので毎年頂くことにしている。

 

かぶ1000さんの著書:

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かぶ1000さんが監修。ベン・グレアムの投資法をまんがでわかりやすく解説
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かぶ1000さんが推薦する投資本:
「「賢明なる投資家」は、私の投資家人生を変えた一冊です。」「賢明なる個人投資家への道」P5 かぶ1000さん、さらにウォーレンバフェットも感銘を受けた本
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