ネットネット株 実際に投資してみた【結果随時公表】

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ネットネット株とは

ネットネット株とは、次の条件を満たす株のことである。
・会社の時価総額と同社の資産価値を較べて、会社の時価総額が同社の資産価値よりも安いこと。

ネットネット株投資というのは、端的に言えば、ネットネット株の条件にある株を見つけ、その株を買い保有することになる。経験豊富な人からすれば、この説明では物足りないかもしれない。

この記事では、ネットネット株初心者に向けて(私も含めて)、次のことをお伝えする。

  • ネットネット株の定義、計算方法
  • ネットネット株の特徴
  • ネットネット株を実践する投資家
  • ネットネット株へ投資した私の取引記録
  • ネットネット株は儲かるのか

ネットネット株 そもそもの始まりは

ネットネット株という言葉はそもそもどのようにして生まれたのか。最初にネットネット株を提唱したのは、ベンジャミン・グレアムという投資家兼大学教授である。この人はコロンビア大学院でファイナンスを教えていて、著名投資家のウォーレン・バフェットはグレアム教授の授業を受けたいがために、コロンビアビジネススクールへ進学したというエピソードもある。まあ、グレアムさんというのはそれほど株式投資の分析に長けていたのだろう。

ネットネット株の定義 計算方法

ネットネット株の基本は、割安株であること。では割安株とは何に比較して割安なのか。グレアムさんの本「証券分析」での定義を大雑把にまとめると次のようになる。

会社の資産から借金などの負債を差っ引いて、残りの純資産の金額とその会社の時価総額を比較して、時価総額が計算した純資産よりも安ければ、株価は割安であると判断する。

グレアムさんはこの考えを数式に落とし込み、次の公式を考え出した。

(正味流動資産-負債総額)×66.7%>時価総額

ネットネット株が存在する謎

普通に考えたらネットネット株が存在するのは、おかしい。なぜなら、例えば次のような例がネットネット株ということになるからだ。

現金 100億円
不動産 六本木の土地とマンション 時価30億円
保有株 東京エレクトロン株 時価100億円
合計 230億円

負債 銀行借り入れ30億円など含めた負債合計 30億円

純資産 200億円

ネットネット株にあてはめて計算したときに、純資産が200億円ありました。その66.7%は133.4億円です(200億円 x 66.7%=133.4億円)。この会社の時価総額を調べると、100億円でした。

この場合、ネットネット株の計算式にのっとって、かなり安全に割安な価格として算出した会社の価値が133.4億円。時価総額は、さらに低く100億円。

ネットネット株での会社の価値 133.4億円 > 時価総額 100億円

なぜこんなことが起こりえるのだろうか? スーパーで言えば、売れ残り処分価格で刺身が売られているようなものではないか。通常1,000円の刺身。でも今日中に刺身を売りさばかないと、廃棄処分になってしまう。刺身を捨てるより、安値でも売り切ってしまったほうが良いから1000円の刺身を500円で売る。

株は、刺身と違って今日売り切る必要はない。いつだって買える。それなのになぜ年がら年中,大安売りの価格で売り出し中なのだろう?

ネットネット株が存在する理由

ネットネット株が存在するのは、大安売りの価格であっても買い手がいないからである。当たり前のことだが需要がない。なぜ重要がないのか?その理由を探ってみた。

ネットネット株が需要がなく不人気であるわけ

  • ネットネット株であることが知られていない
  • 機関投資家が投資しない
  • 大株主が株価上昇を拒んでいる
  • 将来も株価が上がる見込みがない

それぞれ順に見ていこう。

  • ネットネット株であることが知られていない
    ネットネット株をリスト化してみると、ほとんどの株が知名度が低い、一般には知られていない株だ。三菱商事は知っているけれど富士精工は聞いたことがない。 私も長く生きているが、富士精工という会社は、全く知らなかった。マネックス証券は口座を持ってるけど、光世証券ってネットで取引できるの?そんな一般の人には知られていない会社が、ネットネット株のほとんどに該当する。よって、玄人の投資家ならばネットネット株への投資が妙味がある投資候補としての選択肢に入るかもしれない。しかし、私のような素人の投資家は、その存在すら知らないのだから、投資対象からは外れてしまう。

 

  • 機関投資家が投資しない
    株式市場における機関投資家の役割は大きい。機関投資家とは、保険会社、銀行、年金基金などの会社や組織として投資する機関のことである。こういう機関はお金をたくさん持っているから大規模にお金を投資する。このような機関投資家はネットネット株へは投資しない。なぜならば、ネットネット株へ投資しても投資額が限られてしまうからだ。例えばネットネット株である 光世証券は、時価総額33億円である。一方マネックス証券は1283億円である。機関投資家が光世証券へ投資したくても規模が小さすぎるのだ。たとえ投資がうまくいっても規模が小さすぎるから利益額が限られて、彼らの労力に見合う成果を得られない。妙味がないのである。

 

  • 大株主が株価上昇を拒んでいる
    ネットネット株に属する企業は、大株主がその企業を実質的に支配している例がかなりある。会社を起業して、その会社を経営しながら会社を成長させ株式を上場したような例である。このような会社には、実質的支配者、つまり大株主の考え方が2通りあると思う。
    一つは会社を大きくすることを目的とする大株主である。ソフトバンクグループの孫氏、ニトリの似鳥氏などがこの部類に相当する。
    もう一つは会社を大きくすることよりも、安定的に経営し、支配権を失わずに会社を永続させたいと考える大株主である。ネットネット株になっている企業の一部は、この部類に属する。丸八ホールディングという会社を例にとってみよう。この会社は布団を製造販売する会社だ。昔相撲取りの高見山を使ってテレビCMを流していた。この会社の株は、創業家一族とその関連会社が7割も保有している。会社の経営者も創業家一族だから実質的なオーナー企業である。ではなぜこの会社は上場したのか?上場時すでに潤沢な資金があるのだから、上場で資金を調達するという目的は考えにくい。恐らく後継者へ株を譲る時の相続税対策だと考えられる。同社の株価はその持っている資産に比べて半分以下でしか評価されていない。この低評価は、相続税を支払う際、都合が良い。この低評価の金額が相続の際の評価額になるからだ。低評価イコール相続税が安くなる。このような大株主は、株価が上がらないほうが好都合だろう。株価が上がろうが下がろうが、自分で持っている株を売ることはしない。自分の会社という認識だからだ。このように大株主が株価上昇を間接的に拒んでいるから株価が上がらずネットネット株として存在している。

 

  • 将来も株価が上がる見込みがない
    ネットネット株に需要がない最もな理由として、投資家に人気がないことも挙げられる。ネットネット株は割安だから、お買い得なのになぜ需要がないのだろうか?私のような素人考えだと、今たとえ割安だからと言って将来株価が上がるとは限らないのではないかと考えてしまうからだ。10年前も割安、今も割安な株。多分この株はこの先もずっと割安なのではないか、株の経験が浅い私ならそう考える。それより、アメリカのアップルやグーグル、または日本の三菱商事やダイキンなどに投資したほうが、会社も成長しそれに合わせて株価も上がるんじゃないかと考えてしまう。実はこの考え方は一般的な考えらしく、ネットネット株などの割安株(英語でバリュー株というらしい)が将来も割安であり続けるケースは結構存在するというデータもある。このように過去も今も、そして多分将来も割安であり続ける株へ投資してしまうことをバリュートラップという。割安さに引き寄せられて罠(トラップ)にはまってしまうという意味だろう。

ネットネット株へ投資する著名投資家たち

このように、ネットネット株は一般的には不人気な株であり、ネットネット株への投資需要は少ない。それでも、このネットネット株へ投資をして大成功を収めている投資家がいる。

ネットネット株への著名投資家 ウォーレンバフェット

今や世界的な投資家として不動の地位を築いたウォーレンバフェットは、冒頭で紹介した通り、投資家生活の初期の時代は、もっぱらネットネット株へ投資をしていた。毎年公表しているバフェットさんが経営する会社「バークシャーハザウェイ」の「株主への手紙」で、ネットネット株への投資が非常に妙味があったことを書いている。
バフェットさんは現在は、アップルをはじめとする大型優良企業への投資を中心にしている。その理由は、バークシャーハザウェイの規模が大きくなり、小規模な企業の株投資では効率が悪くなったこと、またアメリカにネットネット株自体が枯渇してしまったことを挙げている。

ネットネット株への著名投資家 ウォルターシュロス

日本ではあまり知られていないが、ウォルターシュロスというネットネット株中心に投資をする著名投資がいる。すでに故人だが、バフェットさんと一緒に仕事もしていたという経歴の持ち主だ。ウォーレンバフェットの「株主への手紙」でもシュロスさんを紹介している。その手紙の中でバフェットさんはシュロスさんのことを「スーパー投資家」として絶賛している。彼が運用するファンドの成績は何十年にもわたり年率20%を記録しているのだから、ほんとに「スーパー投資家」である。

ネットネット株への著名投資家 かぶ1000

アメリカだけでなく日本にもネットネット株のスーパー投資家がいる。今や株式投資関連では著名人になったかぶ1000氏だ。かぶ1000さんは、若いころグレアムさんの本「証券分析」を読み、感銘を受け、以来ネットネット株への投資を継続し、驚くほどの好成績で株式運用を続けている。
つい最近も自身の運用成績を公表したが、次のようにおっしゃっている。

「過去5年の売買を集計してみたら確定利益+215,398,825円、勝率77.14%でした。確定益のうちTOB、MBOによるものが+62,925,012円と全体の約30%、上位10銘柄の利益が+143,302,520円と全体の2/3で、ロットを入れた銘柄のプラスが大きかったようです。一方で確定損も-40,019,474円と負けも結構な額でした。」

私の資金も一緒に運用してもらえませんか、と丸投げしてお願いしたくなるような好成績である。

ネットネット株へ投資した私の取引記録

恐らく、いや確実にかぶ1000さんは私のお金を運用してはくれないだろうから、自分でネットネット株へ投資をし、ほんとに著名投資家たちのような成績を上げられるのか試してみた。結論から言うと、「全然だめよ」である。

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上記3銘柄はいずれもネットネット株である。しかし軒並み5~9%の含み損になっている。なぜ含み損になってしまうのか。なぜ、かぶ1000さんのように毎年20%を超える成績を上げられないのだろうか?

ネットネット株は儲かるのか

私がネットネット株へ投資して、思い通りの成績を上げられない理由は次に集約されるだろう。

  • 株式投資への全般的な知識・経験が不足している
  • 投資対象の銘柄の分析がいい加減
  • 株式投資への全般的な知識・経験が不足している
    ネットネット株、それ以外の株、いずれへの投資に際しても十分な株式市場への理解と経験は不可欠である。アメリカの金利が上がったからアメリカの株式市場が全般的な下落傾向に陥った。その場合、日本の株はどのような影響を受けるのか?ちょっとわからない、というのが私の率直な答えだ。これでは株式投資をするのに十分な知識を備えているとは言えない。
  • 投資対象の銘柄の分析がいい加減
    投資をしたニッチツという会社は、計算式ではネットネット株に該当する。ただそれだけの理由で私はこの会社の株を買った。しかし、この会社は赤字を計上し、当然ながら株価は下がった。計算式にあてはめてネットネット株だからと投資するだけで株価上昇を期待するのは虫が良すぎるだろう。つまり、私の分析能力が不足しており、それにもかかわらず株を買ってしまった結果、株価下落に見舞われているという、至極当然の結果を招いたのである。

ネットネット株は儲かるのか 結論

ネットネット株は儲かるのか、儲からないのか?それは投資家の力量に左右される。ウォーレンバフェットやかぶ1000さんのような銘柄分析を緻密に出来る人にとっては、ネットネット株は儲かるし、宝の山だろう。しかし、私のような素人が手を出しても、割安だからと言って必ずしも儲かるとは限らない。

実際、私の場合は個別株投資よりも、ほぼほったらかしのインデックス投資のほうがよほど好成績を収めている。皮肉なものだ。

また、ネットネット株への投資よりも、自分が良く使う会社の株主優待を貰う(高島屋への投資)とか、恩株にしてそのあとは放置するなどのほうが、投資後も安心して株を保有できる気がする。
紹介した銘柄以外にも、ネットネット株へ投資を継続している。ある程度結果が出たら、またここに取引記録をお知らせする予定だ。
よい報告ができるといいんだけど….

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