恩株の意味とは?
恩株とは、次の投資法で得た株のことである。まず株などに投資をする際に複数株を買っておく。その株がある程度株価が上がったところ(含み益の状態)で投資元金分だけ売却する。売却しない残りの株はそのまま継続保有する。この方法で投資を行った場合、継続保有している株の取得コストは、すでに売却した株の利益で相殺できる。つまり、元金はすでに回収している株になる。なんともありがたい株、そういう意味を込めて「恩」株という。
この記事で下記をお伝えする。
- 恩株の意味・しくみを簡単に説明
- 恩株を取得する方法
- 恩株取得に成功した私の実践記録
- 恩株取得に失敗した私の実践記録
- 投資金額を抑えて恩株を取得する方法
恩株の意味を簡単にすればこうなる:恩株=元金回収済みの株
恩株の意味をもっと単純化するとこういうことだ。
2単位分の株を買って株価2倍になったら1単位分だけ売却。残りの1株はタダになる。
2単位分株を買って、株価が2倍になったところで1単位だけ売却する。そうすれば投資元金は回収済みになる。
残りの1株はタダでもらったグリコのおまけみたいなもんだから気長に保有すればいいという考え方らしい。Buy one get one free. みたいに1株買えばもれなくもう一株タダで上げます、にも近いかもしれない。
なぜ恩株?ことばの意味
恩株の意味はわかったが、なぜ恩株ということばなのか?
株価が上昇して、利益をだして、その利益で手元にまだある株の投資元金が賄える。ああ、ありがたい!この株はタダでいただいたようなものだ、というような恩というか感謝のような意味合いが、恩株という言葉に含まれているようだ。
恩株ということばは、著名投資家邱永漢さんの造語
実は私が恩株という言葉を知ったのは、ほんの数か月前のことだ。意味が分からないので調べてみると、なんでも邱永漢さんという事業家兼作家の方が言い出した言葉らしい。事業をしている人だから思いついた方法なのかもしれないが、この方法は私に向いていると思った。
恩株の意味と考え方は、資金の回収という点で事業家の考え方と同じ
私は自分の会社を長年運営している。まあ、小さな会社なので、経営戦略とか5か年計画とか、そんなものはない。大手企業の社員みたいに役員を説得するためにパワーポイントでプレゼン資料を作ることなんかもない。せいぜい手書きでノートにメモるくらいだ。
けれども事業の資金管理となると結構シビアになる。いやシビアでないと小規模企業はやっていけないんですよ。資金管理をするうえで一番重要になるのは投資元本の早期回収なのだ。
どういうことかというと、例えばある事業を始めるとする。「そうだ、ネット通販でうちのワンコに似たキャラを作って、スマホキーホルダーにすれば売れるぞ!」そう私の脳みそが指令をだしたとする。
そして実際に事業を始める。キーホルダーを製造してくれる会社にいくつか打診をし、サンプルをつくる、とか楽天とかアマゾンで販売経路を確保できるか検討とか。
事業で重要なのは投資元金の早期回収
まあ、いずれにしても事業を始める。そうすると、当然に利益が出る前にお金がかかる。キーホルダーを作るお金、楽天に払う場所代、ネット広告に必要な費用・・・。
実際にキーホルダーが売れ始めるまでに数か月が必要だろう。さらにこのような初期費用と毎月の運営費を回収できるくらいまでに売り上げが拡大するまでには数年は見ておいたほうがいい。
こういった費用をまず早期に回収することが、零細企業ではとても重要なのだ。ちなみに新規事業は3年から5年で投資資金を回収するのが鉄則だ。それ以上ビジネスを続けても利益がのらず、売り上げが好転しないようならば、赤字のまま撤退することになる。
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恩株の意味を知り、その考え方が私の琴線に触れたワケ
恩株の基本は株価2倍で売却?
恩株の意味を調べるときに邱永漢さんの著書を読んでみた。彼の考え方は、恩株を作るために、
- 株を複数単位買う。(例えば2単位)
- 株価が2倍になるまでじっと待つ。
- 株価が2倍になったら、半分売却し、半分はそのまま株で保有する。
恩株を作るために、株価2倍まで待つのはリスクが高い!?
株価を2倍にするまで待って恩株を作るというのはかなり気長な投資法に思える。それに株価2倍なんて結構難しいんじゃないか?私が当初恩株投資については、どちらかというと後ろ向きであった。
大体株価なんて上がったり下がったりを繰り返すもんだろう。うまく2倍になるまで気長に待っているつもりが、逆に運悪く株価が半減してしまうことだってありうる訳だ。
勝ち逃げする方法で恩株を取得する!
株価が2倍になるのには時間もかかるし、どの銘柄に投資するかと言う銘柄選別の能力も必要だろう。いや待てよ!
もっと投資期間を短く、それから値上がり幅も僅かにしたらどうなる?
10%程度の株価上昇なら数週間数ヶ月で起こりうる。期間が短い分、外部要因で株価急落という不幸に出くわす確率も低くなる。そのためには2単位だけ投資するんじゃダメだ。
たとえば、20単位分の株を買って、株価が5%上昇したところで19単位分の株を売却すれば、その売却益で残りの1単位分の株価を賄うことができる。まあ、正確には税金も考慮すると5%の株価上昇では足りないから7%くらいの上昇が必要だが原理は同じだ。
いいじゃないか!
株について、私はどのように投資すれば良いのか皆目わからない。まったくの素人なのだ。株価が割高なのか割安なのかそれもよくわからない。さて、どうするか。
恩株投資を実践、 インヴィンシブル投資法人 に投資。そして恩株獲得に成功!
恩株を取得するために、一般企業の株へ投資するのではなく、Jリートと言われる銘柄に投資することにした。
Jリートと言うのは、まぁ不動産投資みたいなものらしい。会社に当たる投資法人が複数のビルのオーナーになっていて、でもその複数のビルを1法人で所有するのは大変だから、多くの投資家に投資してもらってみんなでビルを所有して運用しようと言うものだ。
ビルだけでなくホテルや老人施設を所有している投資法人もある。このJリート銘柄への投資ならば、毎回不動産からの家賃収入が見込め、安定収入を確保できるんじゃないかなと私は単純に思ったわけだ。
Jリートにも株と同じように銘柄がたくさんある。2019年現在60銘柄以上あるらしい。60もある銘柄からどれを選べば良いのかこれも結構見極めるのが難しい。
そこで単純に多く分配金が貰える方がいいと考えて、利回りの良いものに投資することにした。そして選んだのが8963 インヴィンシブル投資法人と言う投資法人だ。
舌を噛みそうな名前のこの投資法人は、海外の事業主が日本での金儲けを目論んで不動産投資事業を運営しているらしい。まぁこの投資法人の策略に私はまんまとハメられたと言えるかもしれない。
私が投資を始めた時期には利回りが7%もあった。Jリートの平均利回りが4%くらいだったから利回りだけ考えればウハウハだ。そんなこんなでこの銘柄の恩株取得に乗り出したのだ。
うまく恩株を獲得することができれば、その恩株の分配金として毎年数千円位の収入がもたらされるわけだ。まぁ、金額からすると微々たるものにしか思えない。が、この恩株はただでもらったようなものである。不満はない。
さっそく2018年の10月から12月位にかけてこのインヴィンシブル投資法人の銘柄を11口購入した。11口とういう中途半端な口数になった理由は、10口買ったと思っていたらなぜか11口になっていたという単純な注文ミスによる。
しばらくは上がったり下がったりを繰り返していたが、12月上旬位から急に株価が上がりだして、運良く恩株を取得する位の売却利益を得ることができた。こうして取得した恩株1口分をを最初の予定どおりに保有している。
Jリート銘柄は恩株取得に向いている
Jリートに投資をして、分かった事は、Jリートの投資口価格の値動きは、普通の株価の値動きよりもかなりゆったりとしていると言うことだ。
私は株価が下がると気になって仕方がないタイプなので、このようなまったりとした価格の動きはとても嬉しい。まぁ端的に言えばできるだけ損をしたくないのだ。
だから私のように株価の動きが色々と気になってしまう人にはこのJリート銘柄への投資は結構向いているかもしれない。
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恩株獲得マブチモーター:しかし失敗! トントンで撤退!
しかし、ここでめでたしとめでたしとはいかなかった。
やらかしてしまったのだ。失敗だ!
やはり株は難しい。
Jリートでの恩株獲得がうまくいった一方で、私は欲を出してマブチモーター株の取得も目論んでいた。株価のチャートを見ていたら、マブチモーターは株価が5年間の底値にまで落ちていたのだ。業績は良さそうなのでこれは恩株獲得にもってこいだと思い買ってしまった。
買った途端に株価はスルスルと下がり、「おおい、どこまで下げるつもりだあ!」と、心配になるくらい下がってしまった。
おかげで安眠できず、毎日7時間くらいしか眠れない。昼寝をしても30分くらいで目が覚めてしまう。
2018年のクリスマスにはさらにドーンと下がって、サンタさんからとんでもない贈り物を頂いた気分だった。
その後なんとか株価が上向き、年末に貰える配当を計算に入れると何とかトントンになる株価まで戻った。その時点で全株を決済して手を引いた。
お金の実損はなかったのがせめてもの救いだ。煮え湯を飲まされた気分だった。まあ、こういう失敗も株での取引では仕方がないだろう。
恩株投資に向いている人は、次の性質を持っている
恩株投資に向いている人恩株投資に向いている人は、私に似て次のような性質を持っている人だ。
損をしたくない人。
株価の分析を自分でできない人
肝っ玉が小さい人
こういった人、つまり私みたいに株価がすこしでも含み損になるとうろたえ、そして少しでも含み益になると株価が下がる前に急いで勝ち逃げしたくなる人に、恩株投資はおすすめだ。
恩株の意味が分かり、この投資法は自分に向いている、とすぐにひらめく人に恩株投資はお勧めだ。
恩株は一度獲得してしまうと、もう実損はありえないのでその後の株価に一喜一憂する必要がない。株価市場が暴落しても、落ち着いてお茶をすすりながらアマゾンプライムでドラマを楽しんでいられる。
ウォーレンバフェットとうい人は世界一の投資家らしいが、そんな人が言っている事は、
1 損をするな
2 1を忘れるな
と言うことらしい。
人の会社にお金を投資をして、それで世界有数のお金持ちだか投資家だかになって、何が偉いんだかよくわからないが、でも投資の世界で成功している人にとっても損をしないと言いう事は非常に重要なことらしい。私は3番目心得として
3 勝ち逃げしろ(byわたし)
を意識している。
まとめ
恩株の意味は、複数株を購入し、値上がり益でまず投資元金を回収する。回収した投資元金分が保有したままの株の購入代金と同じであるなら、その保有中の株は投資金回収済みのタダ株になる。そのタダ株に感謝の意味を込めて、恩株という。
恩株の具体例
そして、投資元金を回収するためには、できるだけ多くの単位の株を購入すると、わずかな値上がり益で、恩株を作ることができる。
- 10単位購入 10%の値上がりで1単位分が恩株になる。 (手数料・税金を除外)
- 20単位購入 5%の値上がりで1単位分が恩株になる。(同上)
投資金を抑えるために
1単位が高額な銘柄で恩株を取得するには多くの資金が必要になる。現実的ではない。
例えば、東京エレクトロンは1単位(100株)が170万円もする。(2019.4.12現在)
恩株を取得するには、1単位ができるだけ安いほうが仕掛けやすい。また、会社の株である必要はなく、JリートやETFでも恩株取得の方法が使える。
ETFであれば、日経平均に連動するETFが2万円台、金価格に連動するETFは数千円で購入できる。
このように恩株とは、損失を出来るだけ被らず、勝ち逃げしながらも投資金回収済みのタダ株を運用するいいとこ取りに投資法である。