S&P500インデックス投資:Buy and Hold vs 年1回リバランスを検証

s&p500buyandhold投資

円建てのS&P500投資は、ウォーレン・バフェットも一般個人投資家に勧めるS&P500への投資を日本円で行う投資。S&P500インデックスファンドへの投資は日本でも有効か検証の記事に書いた通り、でその投資が私たち円建てで投資する環境でも有効であることがわかった。

円建てS&P500インデックス投資:Buy and Holdか年1回のリバランスか?

私たち円建てで資産管理をする場合でも、S&P500連動のファンドが投資先として優秀であることが分かった。では、S&P500へ投資をするとして、どのような方法で投資をするのが良いのだろうか? 例えばウォーレン・バフェットは資産の9割をS&P500、1割を米国短期国債を進めている。これは自身の遺産の運用方法について述べたものだ。毎月の収入から少しずつ投資する手法が一般的である個人投資家向けには次のようなコメントもしている。

いっぺんに全額突っ込んじゃだめだ。少しずつ、時期を分けて投資するのがよい。

ウォーレン・バフェットが勧める「少しずつ時期を分散して」投資をする方法として、ドルコスト平均法やバリュー平均法などが頭に浮かぶ。いずれも毎月1回など定期的に積み立てていく方法だ。

この記事では、定期積立についてはほかの記事で改めて検証することにして、一度に資産を投入した場合のパフォーマンスについて検証したい。具体的には、一度に資金を全額投入する方法、そして一度に手持ちの90%を投資して、10%は現金で温存しておく、そして年1回9対1の比率になるようにリバランスする方法の2方法を検証してみた。

SPDR S&P500 (1557)を使って検証

円建てS&P500への投資には、S&P500 インデックス投資のお勧めは国内投資信託の記事に書いた通り、国内投資信託がおすすめだ。しかし、同記事で推薦している2種類の投資信託は最近設定されたばかりの投資信託であるため、データをさかのぼることができない。そのため、今回のBuy and hold (ほったらかし)と年1回のリバランスを検証するために使うインデックスファンドは、SPDR S&P500 (1557)を使うことにした。このETFも年間信託報酬が激安である。

初期に100万円投資し、8年間保有

初期に90万円投資、現金10万円、毎年年末に9:1になるようリバランス

ほったらかし投資のほうが、リバランスより年率で1.9%上回る!

上記の2つの表の比較でわかるとおり、SPDR S&P500 (1557)への円建て投資の場合、

2011年1月1日に100万円投資して放置、そして同日に90万円投資して10万円は現金で温存し年1回のリバランスを比較すると、次のような結果になった。(配当は除く、売買時の税金は除く、売買手数料は無料とする)

  • 100万円全額投資=>8年間で263万円、年率リターン12.8%
  • 90万円投資、10万円現金、毎年1回リバランス=>8年間で203万円、年率リターン10.9%

節税効果、複利効果もリバランスよりもBuy and Holdのほうが有利

年1回リバランスという手間をかけるよりも、一度に全額投資してしまい、あとはほったらかしにする投資方法のほうが、リターンで1.9%も上回った。全額投資の方式の場合、約2%の配当を加算すると、年率14.8%になる。ウォーレンバフェットの生涯リターンが年約20%超らしいが、このS&P500への一括投資も相当によい利回りだ。バフェットが個人投資家に勧めるのも納得できる。

さらに、一括投資が年1回のリバランス方式よりも優れているのは、節税面だろう。個人投資家の場合、含み益には課税されないので、売買しない限り、税金は繰り延べされる。それに比べて年1回リバランスする場合は、売却した投資口分の利益に約20%が課税されてしまう。長期にわたる複利効果を考えると、売買せず、そのおかげで運用途中で課税されないで済む一括投資方法が、節税面でも有利になる。

注意点:検証期間が右肩上がりだった

配当込みで14.8%というあまりにも優れたパフォーマンスを常に得られるのか?この点には注意が必要だろう。今回検証に利用したSPDRのETFが2011年からしかデータが取れなかったため、都合8年間のデータで検証することになった。この期間は日本ではアベノミクスによる株価上昇の時期とちょうど重なる。つまり、市場自体が右肩上がりの、投資家にとって非常によい環境だった。

検証期間に円高から円安へ振れたことにも留意必要

さらに検証期間の投資を始めた時期のドル円相場と8年後の相場が大きく異なることも検証結果に影響している。2011年は1ドル80円を切るほどの円高だったのに対し、2018年は120円前後の円安だった。円高から円安へのブレは、日本円で投資する私たちには大きな恩恵になる。

検証から導かれる一つの投資方法:景気後退期にまとめて投資して、ほったらかしにする

ウォーレン・バフェットは、リーマンショックで株価が暴落した時期に、ウォールストリート紙に広告を出した。紙面で「株が激安だ。みんなアメリカの企業を買おう」と呼びかけた。彼が言う通り、その後も株価は数か月低迷を続けた。明日あさっての株価については予想できない、というバフェットの言葉通りに。しかし、この時期に素直にS&P500に投資をしていれば、10年の期間でみればほぼ底値で買えたことになる。

では、なぜバフェットは景気後退期を待って、その時に底値で株を買いなさい、と言わずに、先のことはわからないから少しずつ時間を分散して買いなさい、と推奨しているのだろうか?先のことはバフェットにさえわからないから、いつ株価が暴落するか、いつ景気後退期がやってくるかわからないということなのだろう。つまりいつまでも待っていると、機会を損失することになり、その間の利回りを得られなくなる、だから全額投入ではなく少しずつ買い続けなさいということなのだろう。

タイトルとURLをコピーしました