Apple2019売上高減、バフェットがジョブズにかつてアドバイスしたこと

apple投資

S&P500の構成リストでご紹介したように、アップルは、S&P500の構成比率でトップの座にに位置し、4.7%を占める(2019年12月現在)。100万円をS&P500連動のインデックスファンドへ投資すると、自動的に4万7千円ほどのアップル株を保有することになる計算だ。S&P500全体の株価への影響も大きいので、アップル社の中身がどうなっているのか、気になるところだ。そこで、同社が発表している財務報告書であるFY 19 Fourth Quarter Resultsにザっと目を通してみた。

ザっと目を通すといっても、同資料は101ページに及ぶ。全く骨の折れる話だが、要点だけをかいつまんでこの記事でご紹介しよう。なお、原文は英語なので拙訳を併記した。

バークシャーハザウェイ「株主への手紙」2018年その1:投資業から事業経営へのかじ取り
バークシャーハザウェイ(Berkshire Hathaway)のCEOであるウォーレン・バフェット(Warren Buffett)の「株主への手紙」(Letter to shareholders)が公開された。株主への手紙で興味深いのが、ウ...

Competition 競合状況

Competition
The markets for the Company’s products and services are highly competitive and the Company is confronted by aggressive competition in all areas of its business. These markets are characterized by frequent product introductions and rapid technological advances that have substantially increased the capabilities and use of smartphones, personal computers, tablets and other electronic devices. Many of the Company’s competitors that sell mobile devices and personal computers based on other operating systems seek to compete primarily through aggressive pricing and very low cost structures. Principal competitive factors important to the Company include price, product and service features (including security features), relative price and performance, product and service quality and reliability, design innovation, a strong third-party software and accessories ecosystem, marketing and distribution capability, service and support, and corporate reputation.

Apple Inc. FY 19 Fourth Quarter Results

競合
当社の製品・サービスの市場は非常に競争が激しく、当社はあらゆる事業分野で激しい競争に直面しています。これらの市場は、頻繁な製品の投入と急速な技術進歩によって、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット及びその他の電子デバイスの能力及び使用が大幅に増加したことを特徴としています。他のオペレーティング・システムをベースとするモバイル・デバイスやパーソナル・コンピュータを販売する競合他社の多くは、主に積極的な価格設定と非常に低コストであるビジネス構造によって競争しようとしています。当社にとって重要な競合上の主な要因として、価格、製品およびサービスの機能(セキュリティ機能を含む)、相対的な価格とパフォーマンス、製品およびサービスの品質と信頼性、設計の革新、サードパーティ製ソフトウェアおよびアクセサリ、マーケティングおよび販売能力、サービスおよびサポート、企業の評判などを挙げることができます。

Fiscal 2019 Highlights 2019年の財務ハイライト

Total net sales decreased 2% or $5.4 billion during 2019 compared to 2018, driven by lower net sales of iPhone, partially offset by higher net sales of Wearables, Home and Accessories and Services in all geographic operating segments.The weakness in foreign currencies had a significant unfavorable impact on net sales during 2019.
In April 2019, the Company announced an increase to its current share repurchase program authorization from $100 billion to $175 billion and raised its quarterly dividend from $0.73 to $0.77 per share beginning in May 2019.During 2019, the Company repurchased $67.1 billion of its common stock and paid dividends and dividend equivalents of $14.1 billion.

Apple Inc. FY 19 Fourth Quarter Results

2019年の総売上高は2018年と比較して2%減の54億ドルとなりました。これはiPhoneの純売上高が減少したことによりますが、すべての地域の営業セグメントにおいてウェアラブル、ホームおよびアクセサリ、およびサービスの純売上高が増加したことが一部相殺されています。2019年の売上高は、為替の影響を大きく受けました

2019年4月、当社は現在の自社株買い戻しプログラムの承認額を1000億ドルから1750億ドルに増額したことを発表し、年5月に開始した四半期配当金を0.73ドルから0.77ドルに増額しました。2019年中に、当社は67099999999ドルの自社普通株式を買い戻し、141億ドル相当の配当金を支払いました。

iphoneが苦戦、世界スマホ市場でアップルは3位

アップルの売上高は、2019年に減少している!
中国製のスマホ製品、韓国サムスンのスマホがシェアを伸ばしているのだろうか?
スマホのメーカー別マーケットシェアを調べてみると、次の通りだった。

https://www.counterpointresearch.com/ のデータをもとに作成(2019/12/26)

上記グラフを見る限り、アップルはスマホ市場において、2018年はすでに3位に後退しており、2019年も引き続き、サムスン、ハーウェイの後塵を拝している。

スマホ市場自体も頭打ち状態のようだ。下記のグラフを見ると、世界のスマホの出荷台数はすでに横ばい状態である。

https://www.counterpointresearch.com/ のデータをもとに作成(2019/12/26)
アマゾン(Amazon) 株主への手紙2018その1:ベゾスのクラウドサービスへの情熱
アマゾンの創業者であり、CEOのジェフリー・プレストン・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos)が2019年4月に「株主への手紙」(2018 Letter to Shareholders)を公表した。 アマゾンは、 ナスダック上...

自社株買い

アップルは、多額の現金を保有し、その使い道をどうするか迷っているようでもある。かつてスティーブ・ジョブズは、その使い道についてウォーレン・バフェットに相談したことがあるそうだ。

He told me they would not have the chance to make big acquisitions that would require lots of money. …‘I would use it for buybacks if I thought my stock was undervalued.’ And I said, ‘How do you feel about that?’ The stock was 200-and-something. He said, ‘I think my stock is very undervalued.’ I said, ‘Well, what better to do with your money?’

https://www.cnbc.com/ 4 April 2012

彼(スティーブ・ジョブズ)は私 (バフェット) に、多額の資金を必要とするような大規模な買収をする機会はないだろうと言ったんです。 私は、スティーブに言いましたよ。「自分の株が過小評価されているなら、私なら自社株買いをするよ。君はどう思う?」当時アップルの株価は200ドルかそこらでしたよ。そうしたら、スティーブは、「アップルの株は過小に評価されていると思いますよ。」と言ったんです。だから私は「自社株買いよりいい金の使い道なんてあるかい?」と言ったんです。

結局ジョブズは、バフェットのアドバイスには従わなかった。そして今、多額の現金を抱えるアップルは、Tim cookが指揮を執っている。そしてAppleはついに自社株買いを始めたようだ。

新しいビジネス Apple TV

多額の現金の使い道は自社株買いだけではない。アップルは、ネットフリックス、アマゾン、そしてディズニーと次々に参入企業が増えているオンラインビデオ市場に参入した。

この参入について、ウォーレン・バフェットが辛めのコメントを残している。

I’d love to see them succeed, but that’s a company that can afford a mistake or two.

ttps://www.cnbc.com/ MAR 28 2019

アップルがストリーミング市場で成功するのを見てみたいよ。まあ、でもアップルは一つや二つの失敗も許容できるほどの会社だからね。

アップルの5%強の株を所有するバークシャー・ハザウェイ。アップルは、バフェットのお眼鏡に叶う業績を上げ続けることができるのだろうか。

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